Story 002
感性とこだわりをかたちにした
猫と暮らす住まい
N さん

町田で中古マンションを購入したNさん。リノベーション会社を探すなかでサクラヤケンチクのInstagramを見て、「自分の好みに合いそう」と感じ、代表の原田早矢香に相談しました。実は、二人は学生時代からの友人。Nさんが思い描いていた部屋ごとの明確なコンセプトをもとに、猫が家中を楽しめる動線や、旅行先・映画から着想したデザインなど、細かな希望を一つずつかたちにしていきました。Nさんらしい住まいが完成するまでの提案や打ち合わせの過程、実際に暮らして感じていることを、二人で振り返ります。

DATA

物件名

東京都町田市N様邸
物件種別
中古マンションリノベーション
家族構成
一人+猫
築年数
20年
間取り
4LDK→3LDK
専有面積
77.26㎡
リノベーション価格
800万円
工期
2.5カ月
施工内容
一部間取り変更、水回りの交換、 壁天井・床材の張り替え、 内装造作

部屋ごとのコンセプトから、それぞれの「好き」を紐解く

まずは、リノベーションを考え始めたきっかけから教えていただけますか。

Nさん:もともと長く住み続けられる家を買ってリノベーションしようと思い、中古マンションを探していました。ようやく条件に合う物件が見つかり、リノベーション会社を探してみたのですが、自分の好みにはあまり合わなくて。
早矢香さんのInstagramを見ていると「私に合っているかも」という気がして、相談したのが始まりですね。

具体的にどのようなところが、ご自身に合いそうだと感じたのでしょうか。

Nさん:私は、家全体に統一感を持たせたいというより、部屋ごとに「こういう雰囲気にしたい」というコンセプトを明確に持っているタイプなんです。なので、あらかじめ決まったパッケージを提案してもらうより、私の希望を親身になってかたちにしてくれる人と組みたいと思っていました。

原田:その人その人の好みや想いを読み取って、その方にとってのベストを提案することはいつも心がけていることなので、そう感じていただけていたのは本当にありがたいですね。

Nさん:その手腕を特に感じたのが、トイレと洗面所です。もともと「お姫様のような雰囲気にしたい」というイメージはあったのですが、最初に希望を伝えたところ、早矢香さんから「意外と普通だね。もっとプリンセスプリンセスさせなくていいの?」と言われて。「わかってる!」と思いました(笑)。

原田:最初にお話しするときに、「この方は何を求めているんだろう」と考えるんです。家をどうするかということよりも、何を大事にしていて、どう暮らしたいのか。それがわかるまで、きちんとお話しするようにしています。

トイレと洗面台は、ピンクを基調にした“乙女かわいい”空間に。 色味や素材にもこだわり、毎日使うたびに気分が上がるような空間に仕上げました。

異なる要素が“らしさ”として調和する、遊び心あるリビング

打ち合わせは、どのように進んでいったのでしょうか。

Nさん:初回の打ち合わせから、自分の希望を図面に落とし込んだコンセプトシートをつくっていたんです。
猫が入れる部屋と入れない部屋を分けたいという希望や、部屋ごとに「こういう雰囲気にしたい」というイメージをまとめてお渡ししました。

原田:ここまで具体的な資料を用意される方は、なかなか珍しいですね。Nさんは、好きなものやこだわりが一貫していたので、それを最後まで大切にしたいと思いました。
ただ、好きなものをそのまま詰め込んで、ごちゃごちゃした印象になるのではなく、一つひとつが生きる楽しい空間にしたくて。雑貨店のようでもあり、アトリエのようでもある雰囲気を意識しました。

Nさん:いろいろ提案してもらった中で、自分では思い至らなかったのが、リビングの壁に合板を取り入れるアイデアです。もともと昔のアメリカ映画に出てくるおじさんが住んでいる家のような、オールドアメリカンな部屋にしたいという希望があったんです。
でも白い壁だけだとどうしても無機質で、求めていたニュアンスが弱くなってしまう。そこに合板を差し込むことで、インダストリアルな雰囲気が出て、すごく気に入っています。あれはどこから着想を得たの?

部屋ごとのコンセプトや、猫が入れる場所・入れない場所をまとめた、Nさん作成のコンセプトシート。 暮らし方までしっかりイメージしながら、家づくりを進めることができました。

原田:普段から他社さんの事例をいろいろと見るようにはしているのですが、若い頃に旅行へ行った経験もありますし、長年見てきたものの蓄積なのかなと思います。

Nさん:旅行と言えば、私も昨年ロンドンとパリに行ったときに見た床材がすごく印象に残って「床は絶対にヘリンボーンにしたい」とお願いしました。
最終的にリビングにヘリンボーンは取り入れたのですが、同じ部屋の中で床材を切り替える「ハーフ&ハーフ」の提案には驚きましたね。

床材をエリアごとに分ける「ハーフ&ハーフ」を提案。 パーケットとヘリンボーンを使い分け、床のデザインでそれぞれの空間をゆるやかに分けています。

原田:床暖房のあるリビング側にはヘリンボーン柄の塩ビシートを採用して、元和室だった仕事場側には木製パーケットを張りました。木製パーケットは上質な素材なので、塩ビシートを全面に張るよりもお値段は高くなるのですが、エリアごとに床材を分けたほうがおもしろいなと思って提案しました。

Nさん:最初は「同じ部屋で床が違うなんて、本当にいけるの?」と思いました(笑)。でも、早矢香さんに「Nちゃんの家ならいいっしょ」と言われて「じゃあ、いっか」と。
実際に完成してみると、遊びに来てくれる人からもすごく好評で。元和室の側を仕事場にしているので、仕事をする場所と、オフの時間を過ごす場所を、自然に切り替えられるようになったのもよかったです。

原田:通常は、同じ空間で床材を分ける提案はあまりしないんです。でも、Nさんは映画や推し活などいろいろなものに興味があって、いろいろな要素を楽しめる方だと知っていたので、楽しい家になると思ったんです。結果として“Nさんらしさ”が出せたと思っています。

本や雑貨を飾って楽しめるリビングの造作棚。赤や緑の色使いも二人で相談して決めた。 棚には、猫が中を通り抜けられる穴も設けるなど、遊び心ある工夫も。

実物を見て、小さな納得を重ねた家づくり

サクラヤケンチクとのリノベーションは、Nさんにとってどのような体験でしたか。

Nさん:本当に仕事ができる人だな、やっぱりプロだなと感じました。というのも、私は「こういう雰囲気がいい」というイメージは持っていても、細かいディテールや、どの部材を使えば実現できるのかまでは知識がなかったんです。早矢香さんに希望を伝えると、後日、実物のタイルをたくさん持ってきてくれて。カフェのテーブルにどんどん並べながら、一緒に考えてくれました。

原田:お話しするなかでお客様のご要望がつかめたら、まずは私のほうで各メーカーのカタログに目を通して、イメージに合いそうなものを見繕います。そのうえでサンプルを取り寄せ、実物を見ていただくようにしています。
たとえば、Nさんからは「キッチンのタイルは緑系がいい」というご要望をいただいたので、色味や質感の異なる候補をいくつか選び、サンプルを取り寄せました。もちろん、すべての選択肢をお見せできるわけではないのですが、実物を見ながら「いろいろあるけれど、やっぱりこれだよね」と、ご自身の好みを確かめてもらうことを大切にしています。

キッチンは、緑のタイルを贅沢に使った印象的な空間に。 既存のキッチンも、タイルや周りの素材と馴染ませることで、まるで新しく設えたような雰囲気に仕上げました。

Nさん:きちんと実物を見て相談しながら決めたので、完成してから「どうしてここがこうなっているんだろう」と思う場所は、一つもなかったですね。
それから、玄関横の洋室をシューズインクローゼットにする提案もしてもらったのですが、出入り口をアーチ壁にしてくれたのもうれしかったです。 実は「どこかにアーチ壁を取り入れたいけれど、私の家には合わないかな」と諦めて、口にも出していなかったんです。それなのに、早矢香さんからアーチを提案してくれて。「言葉にしなくても、私の好みを汲み取ってくれている!」と、プロとしての引き出しの多さに感動しました。

玄関横の洋室を改装したシューズインクローゼット。来客のコートに猫の毛がつかないよう設けた ハンガーポールは、室内干しとしても活躍している。

工事中の現場もご覧になりましたか。

Nさん:3回くらい見に行きました。工事中は完成した姿をイメージしにくいので、「どんなふうになるんだろう」と少し不安もあったんです(笑)。でも、「何度でも見に来ていいよ」と言ってもらえて。実際に現場を見ることで、きちんと工事を進めてくれているんだなとわかって安心できました。

完成したお住まいをご覧になったときは、どのように感じましたか。

Nさん:完成後に自分の荷物を入れて、今回新しく購入した家具も置いた状態で見たときに、「ほかにはない部屋になったな」と思いました。これまでは賃貸住宅だったので、部屋そのものはどうしてもシンプルで、普通だったんです。今回は自分の希望を伝えて、思いどおりにつくってもらえたので、「自分らしいな」とすごくしっくりきました。

最後に、これからリノベーションを検討している方へ、アドバイスをお願いします。

Nさん:まだ具体的なイメージがない場合は、さまざまな実績やプランを持つ会社にパッケージとして提案してもらう方法もあると思います。
一方で、私のように「こうしたい」というイメージをはっきり持っているのであれば、細かな要望を汲んで、密にコミュニケーションをとれる人と組んだほうがいいと思いました。最初に膝を突き合わせて、お互いのイメージを共有したことで、途中で大きくやり直すこともなく、結果的にスケジュールや予算の面でも納得のいく家づくりができたと思います。

取材・執筆:佐々木ののか
撮影:柴田愛子